環境短信
世界の環境 ホットニュースより
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E-ごみがあふれる
電子ごみ、すなわちE―ごみの問題は、
世界でもっとも急速に増大しつつあるごみ問題である
―報告書『危険物の輸出―アジアのハイテクごみ』冒頭
―報告書『危険物の輸出―アジアのハイテクごみ』冒頭
別所 珠樹
昨年、アメリカから中国広東省の農村に流れる電子ごみ(E―ごみ)が問題になりました。モニター画面に使われている鉛など有害物質で環境汚染が激しく、水 も飲めなくなっているとシリコンバレー毒性物質問題連盟(SVTC)などが世界に訴えかけたものです。1月13日付のENSはラスベガスで開かれたエレク トロニクス・ショーで、E-ごみ問題についての公開討論会が開かれ、話題になったと伝えています。
SVTC のテッド・スミス Ted Smith 理事長は「ガレージなどに放置されているコンピュータは3億台から5億台にのぼる。1つのモニター画面に含まれる鉛は2キロから4キロで、こ のままだと、合計で10億キロ単位(百万トン単位)の鉛が環境中に出て行く。だからこの問題は、いますぐに手をつけなければならない」と語りました。毎年 アメリカの処分場に埋め立てられているEーごみは320万トンで、今後5年で2億5千万トンがごみになるとEPA(米環境保護庁)では予測しています。
こうした問題に対して、討論会に参加したデル社と松下の代表が、自社の取り組みについて説明しました。収集・分解・有価値物の回収・残ったごみの廃棄の仕方は各社で違っています。松下の説明はこうです。
環境に配慮した製品を開発するために年間1億ドルを出資している。無鉛はんだの開発を手がけてきた。無鉛にすると融点が高くなるので、熱に弱い部品をう まくつけるのが難しい。こういう費用は消費者から回収するしかないが、安くすれば消費者は喜んで払うだろう。(原文にはさらに詳しい説明がありますので、 関心のある方はお読みください)
たしかに一歩前進ではありますが、解決を要する問題点はまだまだ山積しています。まずなによりも、処理できないものをどこへ持っていくのか。現在は厄介 な部分を途上国に送り出していますから、これをどうしていくのか。日本のごみもまったく同じもんだいをかかえたままです。この目で実情を見てみようと思わ れる方は、大阪港の弁天埠頭に積まれ中国への積み出しを待っているプラスチックごみの山をご覧になるとよい。複雑な思いになります。関東でも、どこかに同 じものがあることでしょう。
アメリカで2001年にリサイクルされたコンピューターはわずか11%にすぎないとEPAでは言っており、携帯電話は2005年まで毎年1億3千万台が 廃棄され、6万5千トンのごみになるといいます。コンピューターや携帯には鉛だけでなくクロム、カドミウム、水銀、ベリリウム、ニッケル、亜鉛、臭素系難 燃剤などが含まれます。
SVTC のテッド・スミス Ted Smith 理事長は「ガレージなどに放置されているコンピュータは3億台から5億台にのぼる。1つのモニター画面に含まれる鉛は2キロから4キロで、こ のままだと、合計で10億キロ単位(百万トン単位)の鉛が環境中に出て行く。だからこの問題は、いますぐに手をつけなければならない」と語りました。毎年 アメリカの処分場に埋め立てられているEーごみは320万トンで、今後5年で2億5千万トンがごみになるとEPA(米環境保護庁)では予測しています。
こうした問題に対して、討論会に参加したデル社と松下の代表が、自社の取り組みについて説明しました。収集・分解・有価値物の回収・残ったごみの廃棄の仕方は各社で違っています。松下の説明はこうです。
環境に配慮した製品を開発するために年間1億ドルを出資している。無鉛はんだの開発を手がけてきた。無鉛にすると融点が高くなるので、熱に弱い部品をう まくつけるのが難しい。こういう費用は消費者から回収するしかないが、安くすれば消費者は喜んで払うだろう。(原文にはさらに詳しい説明がありますので、 関心のある方はお読みください)
たしかに一歩前進ではありますが、解決を要する問題点はまだまだ山積しています。まずなによりも、処理できないものをどこへ持っていくのか。現在は厄介 な部分を途上国に送り出していますから、これをどうしていくのか。日本のごみもまったく同じもんだいをかかえたままです。この目で実情を見てみようと思わ れる方は、大阪港の弁天埠頭に積まれ中国への積み出しを待っているプラスチックごみの山をご覧になるとよい。複雑な思いになります。関東でも、どこかに同 じものがあることでしょう。
アメリカで2001年にリサイクルされたコンピューターはわずか11%にすぎないとEPAでは言っており、携帯電話は2005年まで毎年1億3千万台が 廃棄され、6万5千トンのごみになるといいます。コンピューターや携帯には鉛だけでなくクロム、カドミウム、水銀、ベリリウム、ニッケル、亜鉛、臭素系難 燃剤などが含まれます。
ごみ焼却の熱利用はリカバリーにあらず
プラスチック等のごみを焼却した時に出る熱を発電などに利用する方式が、「サーマル・リサイクル」などと称して、循環の一つであると位置づけられていま す。しかしこれに対しては、ごく常識的に考えてもなんだか変だという声が以前からありました。ものを燃やせば何もなくなってしまうのに、なぜ循環なのか、 釈然としない思いを抱いている人が多いと思います。
―リサイクルって循環するんでしょう?何が循環するの?と中学生に尋ねられても、うまく答えられないでしょうね。
また、ものを燃やしても循環だというなら、厄介な分別をしなくても、全部そのまま出して燃やせばいいではないか、という理屈もなりたちます。ごみの発生を 抑制することにならない。ごみ発電はどんどんごみを出さないと成立しないではないかという批判もあります。ごみ発電の推進側は、この疑問に正面から答える ことができていないように思われます。
循環に関する概念は複雑なので、少し整理しておきます。覚えやすいように五つのRなどという言い方がされます。もちろん、これについては細かい異論があ るようですが、ここで細かいことには触れないことにします。リフューズ(ごみ回避)リデュース(ごみ最小化)の二つのRは別として、残りの三つは次のよう に大別されていますね。
●リュース/再使用 一升瓶の再利用など、製品をそのまま再び使う
●リサイクル/再利用 金属・プラごみを金属・プラ原料に加工して使う
●リカバリー/再生 プラ→油、生ごみ→堆肥など、別の形で使う
ごみ焼却による熱利用は「熱回収」と呼ばれて「リカバリー」の一つとされて来ましたこれに対して2003年6月13日の欧州『環境デイリー』は、今後EUでは、ごみ焼却による熱利用を「リカバリー」には位置づけないというニュースを伝えています。
―ごみ専用焼却炉からのエネルギー回energy recoveryは欧州裁判所の裁定に従ってEU包装廃棄物指令packaging directiveに基づく廃棄物リカバリーの目標を達成する成果として算入しないことに決定したと欧州委員会が発表した。このことは廃自動車指令、廃電 気電子機器指令にも適用される―
EUの産業界はこれを聞いて狼狽したようです。包装材の流れに対して、「経済的にきわめて重大な影響を与えるだろう」と語り、今でも受け入れがたいところが色々あるのに、さらに不安定要因を加えることになると批判しています。
一方、環境グループの方はこれを歓迎して、焼却の推進で「ごみの分別収集を崩壊させようとしている向きに対して、極めて強いメッセージになるだろう」と 語り、燃料としてごみを混焼coincinerationすることがリカバリーに入っていることには、さらに反対していくとしています。
欧州裁判所が示した判断は、都市ごみ焼却炉の主な目的はごみ処理であって、エネルギー回収をするかどうかとは無関係に、ごみ処理はごみ処理だとしています。
▲ 環境デイリー
http://www.environmentdaily.com/
日本ではRDF(固形化ごみ)を発電所で燃やして発電する事業が推進されようとしていますが、桑名や大牟田で次々と障害が持ち上がっており、今回のEUの決定が将来なんらかの影響を与えることも考えられます。
―リサイクルって循環するんでしょう?何が循環するの?と中学生に尋ねられても、うまく答えられないでしょうね。
また、ものを燃やしても循環だというなら、厄介な分別をしなくても、全部そのまま出して燃やせばいいではないか、という理屈もなりたちます。ごみの発生を 抑制することにならない。ごみ発電はどんどんごみを出さないと成立しないではないかという批判もあります。ごみ発電の推進側は、この疑問に正面から答える ことができていないように思われます。
循環に関する概念は複雑なので、少し整理しておきます。覚えやすいように五つのRなどという言い方がされます。もちろん、これについては細かい異論があ るようですが、ここで細かいことには触れないことにします。リフューズ(ごみ回避)リデュース(ごみ最小化)の二つのRは別として、残りの三つは次のよう に大別されていますね。
●リュース/再使用 一升瓶の再利用など、製品をそのまま再び使う
●リサイクル/再利用 金属・プラごみを金属・プラ原料に加工して使う
●リカバリー/再生 プラ→油、生ごみ→堆肥など、別の形で使う
ごみ焼却による熱利用は「熱回収」と呼ばれて「リカバリー」の一つとされて来ましたこれに対して2003年6月13日の欧州『環境デイリー』は、今後EUでは、ごみ焼却による熱利用を「リカバリー」には位置づけないというニュースを伝えています。
―ごみ専用焼却炉からのエネルギー回energy recoveryは欧州裁判所の裁定に従ってEU包装廃棄物指令packaging directiveに基づく廃棄物リカバリーの目標を達成する成果として算入しないことに決定したと欧州委員会が発表した。このことは廃自動車指令、廃電 気電子機器指令にも適用される―
EUの産業界はこれを聞いて狼狽したようです。包装材の流れに対して、「経済的にきわめて重大な影響を与えるだろう」と語り、今でも受け入れがたいところが色々あるのに、さらに不安定要因を加えることになると批判しています。
一方、環境グループの方はこれを歓迎して、焼却の推進で「ごみの分別収集を崩壊させようとしている向きに対して、極めて強いメッセージになるだろう」と 語り、燃料としてごみを混焼coincinerationすることがリカバリーに入っていることには、さらに反対していくとしています。
欧州裁判所が示した判断は、都市ごみ焼却炉の主な目的はごみ処理であって、エネルギー回収をするかどうかとは無関係に、ごみ処理はごみ処理だとしています。
▲ 環境デイリー
http://www.environmentdaily.com/
日本ではRDF(固形化ごみ)を発電所で燃やして発電する事業が推進されようとしていますが、桑名や大牟田で次々と障害が持ち上がっており、今回のEUの決定が将来なんらかの影響を与えることも考えられます。