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連載 第6回

ジェンダーってなあに?

三歳児神話は「神話」です

女性問題フリーター藤田 羊
 
 2002 (平成14)年の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数)が1・32(奈良県1・21)と過去最低となり少子化傾向が一段と進んでいます。そんな 中、自分のしたいことができずにあせる・イライラする・育児の自信がなくなる・自分はいったい何なのか、といった悩みをもつ主婦、特に専業主婦が七割にも のぼっています。(内閣府「少子化に関する世論調査」1999(平成11)年)。
皆さんは「三十代思春期説」をご存知ですか。心の中では自分ら しさと女らしさの矛盾に気づきながらも結婚・出産し子育てする中で自分の生き方に迷いを生じイライラ・モヤモヤ思い悩むことを、こう称しています。これは 家事・育児は女性のするものという性別役割分担意識と、それと相まって三歳児神話が社会風潮としていまだに根強くあるからだろうと思われます。そして若い 方の間でも多くの方が影響を受けているのがうかがえます。
高度経済成長期に「企業戦士の夫と家庭を守る主婦」像が「国民皆中流意識・日本型福 祉」の意識づくりと相まって形成されてきました。それとともに三歳ぐらいまでは母親が家にいて育てなければならないという「神話」が科学的に証明されてい るものとして扱われ、加えて三歳児検診の普及により、三歳まで母親が子育てに専念すべきというイメージが決定的になりました。しかし少子高齢社会や経済不 況を迎えた今日、女性の社会進出を促す政策とともに、1998(平成10)年度の厚生白書で「神話」を奨励してきたはずの同省が「三歳児神話には合理的根 拠が認められない」と明記するようになりました。
実際、子育ては母親だけよりは父親も、また母親と子どもだけの閉ざされた環境より社会の中で他の人たちと交わることの大切さが、最近特に、他人とつきあえない子どもの増加や児童虐待の六割が実母によるものであることと関連して問われております。
女性の平均寿命が延び、子育て解放期が三十年以上にもなり、将来自分は何をしたいのか、どう生きたいのかを子育て中から意識しながら、社会にアンテナをめぐらして暮らしていきたいものです。
 
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